私が TeX(LaTeX) の存在を初めて知ったのは,
1991年暮れ頃だったと思います(もしかすると,
1992年の3月頃かもしれません).
実際に使用している現場に遭遇したのが最初です.
使用していた OS は定かではないのですが,
隣の研究室の学生が「LaTeX トータルガイド」*1 を片手に,
苦労しながら数式を入力しているのを横から眺めていました.
その時に感じた事は,「数式の入力がなんとなく感覚に合っているなぁ」,
「面白そうなシステムだなぁ」といったようなものでした.
(注) *1 伊藤和人著,「LaTeX トータルガイド」,秀和システム.
高校生の時に初めて PC に触れてから, それまでにも情報処理演習などの講義等で操作した事はあったものの, 本格的に(?)コンピュータを扱うように (コンピュータに弄ばれるとも言いますが)なったのは, 1987年春---卒業研究---からです. それ以来,コンピュータとつき合いがある事になります. とはいっても,最初は大型計算機センターに接続する端末として 使っていただけですが...
確か,研究室に当時いた7名の卒研生のうちで, パソコン上で論文を作成していたのは1名だけだったのではないでしょうか.
私も手書きの卒論でしたが,パソコン(と呼ばれるもの)を 使用してプログラミングを行い,ドットプリンタに等高線を 出力していましたから,多少コンピュータとして使用していた 事になりましょうか.
パソコン上で文章を作成するようになってからは, 一太郎V3 を使用していたのですが,数式を入力する 必要があったのと,簡単な図を描きたかったのとで, 論文執筆の数ヵ月前から使い始めたのが P1.EXE でした. この頃は書式スタイルが別だったので, 比較的文書ファイルのやりとりが簡単でした. つまり,文章の書かれたファイルを確認するために, わざわざその文書を作成したアプリケーションを立ち上げる 必要が無く,DOS の type コマンド等で簡単に確かめる事が できたわけです.
P1.EXE を一年間程使用した後,環境も整った(パソコンの グレードアップ)ので一太郎V4 をインストールして 一年半程使用していましたが,保存しておいたファイルを確かめたり, 過去に作成した文章を探して必要な文章をコピーしたりするために わざわざ一太郎を立ち上げ無ければならず,大いなる不満を持っていました. 一太郎のファイルをテキストファイルに変換する フリーソフトなどを使ったりしてはいましたが, 数式の入力も不便だった,というよりもほとんど使用方法が 分からない状態だったのですが,それなりに一太郎を使用して いたのでしょう(このあたりの記憶が無い).
この頃,普段はプログラム作成のためにエディタを 使用していたため,文章もエディタで作成する事が多く, 装飾と印刷のためにのみワープロソフトを使っていたような気がします. エディタの方が操作生が良かったためです. また,他の文章を参照する事が容易でしたし, 起動が早いのがストレスを感じなくて良かったものです.
学会の前刷りなどの書式が決まっている文書以外は, PRTshot という印刷ツールを使用していました. Canon のレーザーショットに出力するのに, とても重宝していた記憶があります.
この頃の投稿論文では,一太郎の欧文処理に満足できず, 欧文が必要な所では,Word Perfect を使用していました. しばらく,Word Perfect を使用していた時期があったと 思います.
ワープロソフトと PRTshot とでなんとか日々過ごしていた頃, 目にしたのがASCII の『パーソナル日本語 TeX』の雑誌広告. 前述のように,この発売までに TeX の存在は知っていたものの, システムを構築するのにどうすれば良いか全く分からずにいたのでした.
#たしか,雑誌 ASCII 誌上で TeX のシステムの Floppy Disk での販売が当時あったような気もするのですが, 記憶違いでしょうか.この本には,インストールの仕方,LaTeX の分かりやすい マニュアルが付属しており,また,私が MSDOS ユーザで あったこともあり,すぐに LaTeX の虜となっていったのでした.
#このとき,Macintosh や Windows が使える環境にいれば, 私のこの LaTeX 遍歴も変わった道をたどっていたことでしょう.ASCII の『パーソナル日本語 TeX』の発売が 1992年の 秋ごろ(?)なので,それ以来ほとんどの文書は LaTeX 形式と なって今に至っています.
#最近時々思うことですが,「よく一人で覚えたなぁ」と...
大学に助手として採用された秋,科研費の申請用紙を手に しました. この頃,fj.comp.texhax のニュースを購読しており, 科研費の申請用紙の TeX マクロがあると言う話は耳にして いました. 早速,前年度のマクロを入手したのですが, 申請用紙がこの年から B4 → A4 に変更されており, また,〆切も目前に迫っていました.
#最新版を待てない...
しかたないため前年度のマクロを眺め,用紙サイズを 修正する事にしました. このあたりに関する事は,「LaTeX 美文書作成入門」*2 を 読んだ知識を元にしてマクロに手を加えています.
(注) *2 奥村晴彦著,「LaTeX 美文書作成入門」,技術評論社.#この本が無ければ,私の LaTeX 好きも...
修正を加えるためにマクロを読んだりしていると, 「これはプログラミング言語だ」と思うようになっていました. 実際,LaTeX のタイプセットの作業自体が, プログラミングに例えられる通りなので, 「何をいまさら」と言う感じを持たれる方も いらっしゃるでしょうが,マクロの定義も その通りの感じでした.
#この感覚が私は好きです.
そんなこんなで提出した申請書でしたが,研究費を 獲得する事は許されませんでした.
で,お世話になった「科研費マクロ」に少しでも貢献したい という思いから,1996年度の申請時期から「科研費マクロFAQ」を 作成して,Web のコンテンツとして作成・公開しております.
#どのくらい役に立っているのかは,全く知らないのですが...スタイルファイルの作成